最近、周囲の人に聞いても誰も知らないモノがありまして・・・
昔、コンビニのサンクス(サークルKサンクスになるはるか昔)にあった、“魔法の箱”なのですが・・・
コンビニ弁当というと、温めて食べるご飯物と、温めないでそのまま食べる麺物があるのですが、考えてみると、蕎麦屋なんかに行くと、冷たいざる蕎麦と温かい天丼がセットになってたりするんですよね。
それをコンビニ飯で再現しようとすると、単品を2つ買わないといけない、ということはちょっとキツイのでした。
(当時は食べ盛りの学生だったので、総量的な、ではなく、金銭的なキツイ)
そう考えた(予想)サンクスの開発者が作ったのが、魔法の箱でした。
弁当は片側に温、片側に冷と書いてあるもので、購入時に店内での温めを頼むと、冷の側に魔法の箱を被せてレンジへ入れて温める。
すると、材質は企業秘密だったと思うのですが、電磁波を遮断して、魔法の箱の内部は温まらない、というモノだったと思います。
そんな話をしても、誰も記憶にない、ということなのですが・・・
今は見かけないのは、やっぱり無理があって、発火事故とか発生したから黒歴史になったのですかね??
今日は、またも授業以外で解説した問題。
数学オリンピックの日本予選の問題。
解答よりも、この手の問題へのアプローチを重視して解説したので、その内容です。
$10!$ の正の約数 $d$ すべてについて $\dfrac{1}{d+\sqrt{10!}}$ を足し合わせたものを計算せよ.
この手の問題, 数学に慣れてる人なら5分もあれば解法が見えてくるものですが, 慣れてない人にはどこからスタートしたらいいか分からないものです.
そこで今回は, この手の問題に対する, 慣れの少ない人がどのように考えたらいいかを含めて解答してみます.
まず, この問題は和を求めるのですが, 何個の和を求めるのかを考える.
$10!=10\times9\times8\times7\times6\times5\times4\times3\times2\times1$
$=2^8\times3^4\times5^2\times7$
であるので, $10!$ の正の約数の個数は
$(8+1)(4+1)(2+1)(1+1)=270$
より $270$ 個である.
この $270$ 個の和を一気に考えるのは大変なので, これを少ない状態で考えてみる.
題意を, $10!$ ではなく $n!$, 求める和を $S_n$ とし, この $n$ の値を少ないときで考える.
$f_n(d)=\dfrac{1}{d+\sqrt{n!}}$ とおく.
$n=1$ のとき, $1!$ の正の約数は $1$ のみなので,
$S_1=f_1(1)$
$=\dfrac{1}{1+\sqrt{1!}}$
$=\dfrac{1}{2}$
となる.
$n=2$ のとき, $2!$ の正の約数は $1$, $2$ であるので,
$S_2=f_2(1)+f_2(2)$
$=\dfrac{1}{1+\sqrt{2!}}+\dfrac{1}{2+\sqrt{2!}}$
$=\dfrac{(2+\sqrt{2})+(1+\sqrt{2})}{(1+\sqrt{2})(2+\sqrt{2})}$
$=\dfrac{3+2\sqrt{2}}{2+3\sqrt{2}+2!}$
$=\dfrac{3+2\sqrt{2}}{4+3\sqrt2}$
$=\dfrac{(3+2\sqrt2)(4-3\sqrt2)}{(4+3\sqrt2)(4-3\sqrt2)}$
$=\dfrac{12-\sqrt2-12}{16-18}$
$=\dfrac{\sqrt2}2$.
$n=3$ のとき, $3!$ の正の約数は $1$, $2$, $3$, $6$ である.
ここで単純に足すのではなく, 組み合わせを考える.
$S_3=f_3(1)+f_3(2)+f_3(3)+f_3(6)$
$=\dfrac{1}{1+\sqrt{3!}}+\dfrac{1}{2+\sqrt{3!}}+\dfrac{1}{3+\sqrt{3!}}+\dfrac{1}{6+\sqrt{3!}}$
これらの足す順番を考える際に, 計算が楽になる可能性としては,
・$f_3(1)+f_3(6)=f_3(2)+f_3(3)$ が定数となる
・$f_3(1)+f_3(2)=k\{f_3(3)+f_3(6)\}$ など, ある組み合わせで定数倍になる
などが考えられる.
この希望が叶うかどうかは, 実際に計算してみる.
$f_3(1)+f_3(6)=\dfrac{1}{1+\sqrt{3!}}+\dfrac{1}{6+\sqrt{3!}}$
$=\dfrac{(6+\sqrt{6})+(1+\sqrt{6})}{(1+\sqrt{6})(6+\sqrt{6})}$
$=\dfrac{7+2\sqrt{6}}{12+7\sqrt{6}}$
$=\dfrac{(7+2\sqrt{6})(12-7\sqrt{6})}{(12+7\sqrt{6})(12-7\sqrt{6})}$
$=\dfrac{-25\sqrt{6}}{-150}$
$=\dfrac{1}{6}\sqrt{6}$,
$f_3(2)+f_3(3)=\dfrac{1}{2+\sqrt{3!}}+\dfrac{1}{3+\sqrt{3!}}$
$=\dfrac{(3+\sqrt{6})+(2+\sqrt{6})}{(2+\sqrt{6})(3+\sqrt{6})}$
$=\dfrac{5+2\sqrt{6}}{12+5\sqrt{6}}$
$=\dfrac{(5+2\sqrt{6})(12-5\sqrt{6})}{(12+5\sqrt{6})(12-5\sqrt{6})}$
$=\dfrac{-\sqrt{6}}{-6\sqrt{6}}$
$=\dfrac{1}{6}\sqrt{6}$
であるので, $f_3(1)+f_3(6)=f_3(2)+f_3(3)$ である.
ここで, この $\{1, 6\}$, $\{2, 3\}$ の0組み合わせについて, どのような意味があるのかが分かれば, $n=10$ のときも同様に計算できるのではないかと予想される.
$1\times6=3!$, $2\times3=3!$ であるので, このような組み合わせで考える.
$n!$ の正の約数のうち, $d_1d_2=n!$ を満たす $d_1$, $d_2$ をとると,
$f_n(d_1)+f_n(d_2)=\dfrac{1}{d_1+\sqrt{n!}}+\dfrac{1}{d_2+\sqrt{n!}}$
$=\dfrac{1}{d_1+\sqrt{d_1d_2}}+\dfrac{1}{d_2+\sqrt{d_1d_2}}$
$=\dfrac{1}{\sqrt{d_1}(\sqrt{d_1}+\sqrt{d_2})}+\dfrac{1}{\sqrt{d_2}(\sqrt{d_1}+\sqrt{d_2})}$
$=\dfrac{\sqrt{d_2}}{\sqrt{d_1d_2}(\sqrt{d_1}+\sqrt{d_2})}+\dfrac{\sqrt{d_1}}{\sqrt{d_1d_2}(\sqrt{d_1}+\sqrt{d_2})}$
$=\dfrac{\sqrt{d_1}+\sqrt{d_2}}{\sqrt{n!}(\sqrt{d_1}+\sqrt{d_2})}$
$=\dfrac{1}{\sqrt{n!}}$
であることが分かる.
前述の通り, $10!$ の正の約数の個数は $270$ 個であり,
$10!=2^8\times3^4\times5^2\times7$
より $10!$ は平方数ではないので,
$S_{10}=\dfrac{270}{2}\times(f_{10}(d_1)+f_{10}(d_2))$
$=\dfrac{135}{\sqrt{10!}}$
$=\dfrac{3^3\times5}{2^4\times3^2\times5\times\sqrt{7}}$
$=\dfrac{3}{16\sqrt{7}}$
$=\dfrac{3}{112}\sqrt{7}$.
この $d_1d_2=n!$ となる $d_1$, $d_2$ について計算してみる, という発想が, 数学に慣れていると, 約数って事はそうなるような組み合わせが存在する, という流れで最初に考えるところである.
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